• クイズとき子さん
  • 「歩き出した猫」 クイズとき子さん第67問


    自然で癒されたりするのも
    そういうことが
    関係してるのかもしれんやん

    自然の隠された配列を感じたり
    気づいたりすること
    ほんで、ぼくらはそれに触れるたびに

    安心したり
    エネルギーを
    貰ったりするんやないかな

     

    今も、生活の中で
    平田くんの言葉を思い出します
    そのたび

    あたたか~い気持ちになったり
    せつない気持ちになったり

    んで
    今日は
    少し朝から緊張してて

     

    新鮮やわ、こんな短くしたの高校生以来やな

    ええやん、似合てるよ

    矢崎さんと
    あの日以来
    久々に会うことになったんです

    似合てるよ

    矢崎さんも
    さすが伸びたね

    まあ坊主、楽でよかったんやけどな
    やっぱ、はじめてのお客さんに
    引かれるから

    お客さん?
    そっか
    仕事はじめたんやね

    うん、電話で話した通りや
    とき子ちゃんが
    会社で苦労して開発してたクイズアプリな

    クイズ作りの算出法が
    いろんなクリエイティブの分野で
    応用できることがわかった

    クイズの作出はもちろん
    新商品の開発、アイデア
    ストーリーや脚本

    小説まで生み出すことが将来的には
    できるかもしれん
    少なくとも

    創造的な仕事の手助けにはなるやろうな
    そこでや
    編集長がな

    できれば、とき子ちゃんとも
    一緒にできへんかな~って
    言うてんねや

    私?
    前の会社に
    戻らせてもらえるってこと?

    いや、そうじゃなくてな
    編集長は
    この事業に手応えを感じて

    独立したんや
    営業のぼくと編集長と新人の子
    これから新しくスタートするんや

    そうなんや

    一緒にやらへんか?
    いや、そもそもこのクイズを
    人工知能に作らせる大本の企画は

    とき子ちゃんが提案したものなんやで?

    そやけど

    まあ、今すぐ返事がほしいわけやない
    じっくり考えてくれたらええわ
    体調のこともあるしな

     

    クイズ作出の自動化、うん
    なるほどな

    10回クイズの作出には原理があります
    ロジックがあるっていうことは
    プログラムも

     

    クイズアプリ…
    会社にいた頃、私たちがスタートさせた
    クイズ作出アプリが

    他の分野にでも応用できる
    一大事業としての可能性に
    編集長は賭けた

    何が起こるかわからへんな
    新事業に私を招いてくれようとしてる
    義理かもしれんけど

    ありがたい話やな…
    ま、それはそれとして
    こうやって矢崎さんと話してると

    不思議とあの頃
    あの、OL生活のあのときのまま
    なんや宇宙〇〇の会のことも

    何もなかったかのように感じる

     

    マスター
    お水もらえます

    はい

    宇宙〇〇の会はというと
    今や物理的な場所を失った会は
    ネットの世界に移行

    幸福哲学を基礎とした企画サイトの運営
    そこからまた徐々に広がりつつある
    今度は国境を超えて

    グローバルに
    中心人物
    代表はもちろん平田や

    彼との縁はまだ続いてんねん
    いつかはぼくらの新事業とも
    合流することもあるかもしれんなあ

    今、どこおるの?平田くんは

    市内におる
    目立たんようにやっとるわ

    この街にいる
    そやったら、またどこかで
    会えるかもしれんな

    平田のこと…

    ん?…

    まだ好きなんか?…

    うん…
    まあな

    ふふ…まあな、か

     

    とき子ちゃん、今度、肉食いに行こや!

    おごるからな

    みんなが
    新しい道を歩いてゆく
    世界をひろげてゆく

    私だけ親元に戻って
    以前よりずっと

    ふりだしに戻ったみたいやけど
    それでも少しは
    まともになったこともある

    それは
    前より歪みが気にならなくなったこと
    いや、気にはなるけど

    でもそれをどうにかしようとか
    抑えようとか
    特別しんどいような

    心の負荷がかからんようになった
    毎日を丁寧に
    気持ちよく

    機嫌よう生きてゆく
    宇宙〇〇の会での生活で得た
    心の安定を手がかりに

    徐々に
    私は
    手を洗う回数を
    減らしていきました

    一つ、大事なことに気づきました
    私は生まれてこの方

    この病気は先天的なもんで
    絶対治らへんて
    芯から思い込んでました

    専門家による
    しかるべき治療法で
    私はゆっくりと

    歪みが気になる心を
    コントロールすることが
    できるようになっていきました

     

    クビが原因かもしれないですね
    クビに負担のかかる寝方
    たまにしてはるでしょ

    そうクビを温めて
    副交感神経を活性化させます
    リラックスする機能を

    回復させましょ

     

    このまま順調に
    体調がととのってゆけば
    病気を完治させ

    人並みのことが
    普通に出来るようになるかもしれへん
    そしたら

    私は親元から離れ
    また社会にでてみようと思う
    そのときは

    私は
    以前の私ではない私になってることでしょう
    四つ葉のクローバー

    もう見つけられんように
    なるかもしれんな…
    平田くん…

     

    なんか、なんやろ
    青山、ぼくな
    この世界で、そんなことを思うとき

    心が鎮まって広がっていく
    この地球、宇宙のことを思うんや
    隠された配列や均整のことを思うとき

    なんかぼくらに
    そやな
    神がなクイズ出してる感じせえへん?

    ほんで、ぼくらそのクイズに
    ひたむきに
    近づいて解こうとして

    反応して
    そんなことしてると思えへん?

    神のクイズか…
    これまで出会った人
    起こった出来事は

    一見、散らばったバラバラなピースやけど
    それぞれが大事なヒントで
    それは

    あるひとつの美しい配列に
    並べることができるのかもしれん
    私にも解ける日がやってくるんやろうか?

    答えは…、答えに少しは近づいてるんかな?
    そのクイズは
    私に解かれるのを静かに待ってる
    そんな予感はあるのです

     

    最近になって
    ようやく解けたクイズが1つ

    ネットで知り合って
    ある時期
    いつも私を励ましてくれた

    アイアムさん
    I A M
    反対から読むと

    MAI
    母の名前でした

    母は
    ネットの住人になりすまし
    私を見守りつづけていてくれたのでした
    気づかんかったな…

    そして
    長きに渡る治療を終え
    私は本日家を出ます

    これ、ギリギリ入らへんな、これ
    もうちょっと、
    大きめのカバンない?

    カバン?
    これやとどう?

    これ、お母ちゃんの
    家出したときのカバンやん、これ

    大きいのこれしかないんよ

    まあ、ええわ
    家出やしな

    おめでたい家出やな

    お母ちゃん

    ん?

    ありがとう

    ん?

    何泣いてるの…

    泣いてないよ別に

    お母ちゃん、ウルウルきとるやん

    きてへんよべつに

    いや、もう、ちょっと泣いてるやん

    泣いてないよ

    んんん…

    え?
    つーか、あんたどうみても泣いてるやん

    泣いてないよ
    お母ちゃんが泣いてるやんか

    完全に泣いてへんけどな!

    え?

    泣いてるやんか!

    泣かんでええやん

    泣いてへんちゅうねん!
    はよ行きいな、あんた!

    行くわもう
    出ていくっちゅーねん!
    泣かんでええやん

    泣いてへんちゅうねん


    おしまい

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