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  • 保護して10か月、野生に還す日 ムササビと獣医先生が歩んだ日々 愛知・豊田市

    なんとも愛くるしくて人懐っこいムササビの赤ちゃん。およそ10か月前、豊田市内の公園で木から落ちてきた所を、牧の池どうぶつ病院の鈴木克弥院長に保護され、育てられてきました。

    「僕も野生動物の調査を行っていますが、病院を開業して15年ですけど、初めての事例になります」(鈴木先生)

    ムササビといえば、移動する時、「ザブトン」のように飛ぶ姿がおなじみのリス科の動物。森の中で生活する夜行性で、人前に出てくることは珍しいとされています。

    しかし近年、環境の変化から人里で目撃されることが増えています。人間との生活環境が重なったことなどから、その個体数は減少。現在、愛知県では、準絶滅危惧種に指定されています。


    保護されたムササビ 左:去年8月 右:今月

    ムササビを保護したのは初めてだった鈴木先生。野生動物の世話に細かいマニュアルはなく、離乳食は何が食べられるのかなど、試行錯誤でした。
    そして、半年が過ぎた頃ムササビの赤ちゃんを再び訪ねてみると…元気よくフルーツや栗をほうばる姿が。

    「体重が1160グラム」(鈴木先生)

    保護した時はたった100グラムの小ささでしたが、現在は10倍以上に。すっかり大人になりました。そして。

    「体重がどんどん増えていって、1100グラム1120グラムのピークになったところが、だいたい放し時だと思っているんです」(鈴木先生)

    成長が嬉しい反面、近づくのは別れのとき。大人になった野生動物は、人間が食べ物を与え続けると逆にストレスとなり死んでしまうケースもあると言います。野生へ還すことを決意していました。

    「僕がこのまま飼い続けたら多分弱って、不幸な顛末になるんじゃないかなと、予想しているところがあって。早く放したい」(鈴木先生)

    そして、別れの朝。

    「専門家に聞くと輸送中に個体がストレス死するとか、車の中でパニックになってしまって、そこで大きなけがを負ったりする事例がすごく多いらしいんです」(鈴木先生)

    ムササビはとても繊細な動物。慎重に森まで移動します。到着したのは、愛知県内にあるムササビが多く生息している山です。
    この日は、野生動物研究の専門家らも参加しました。巣箱は、ヘビから狙われにくい高さ4.5メートルほどのところに設置します。

    今回、発信機の付いた首輪を装着し、人間に育てられたムササビが自然に戻り無事繁殖まで出来るのかを観察しようとしています。

    「(ムササビが)寿命を全うしているのかどうか、それが繁殖して子どもを育てているかは確認されていない。今回そこまで確認できたら、ちゃんと自然を克服できる能力があるねということが証明されるので」(リス科動物研究者 北山克己さん)

    出来上がった巣箱の居心地はどうなのか?ムササビは警戒しているのか一向に顔を出す気配がありません。

    「周りに人がたくさんいて顔をださないというのは、立派だなと思います。顔をみたいけど、これでいいんじゃないですかね」(鈴木先生)

    野生動物としての警戒心が出たと納得しつつも、さみしそうな先生。待ち続けると、およそ1時間半後、ようやく巣箱から顔をだしてくれました。

    「顔出してますね。よかったです。いつまでも僕はいない方がいいので」(鈴木先生)

     

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